お笑いの世界ではよく、
「表の笑い」と「裏の笑い」
という言葉が使われます。
これらの単語が直接使われることはあまりありませんが、芸人同士の会話ややりとりの中では、
「裏に入っちゃった」
などのように「表」や「裏」という単語が使われます。
今回はこの「表の笑い」と「裏の笑い」の違いについて取り上げ、これらを日常生活に取り入れる方法について考えてみたいと思います。
「表の笑い」とは
「表」という単語は辞書で調べると、
- 人の目に立つ方の面。
という意味があるそうです。
笑いにおける「表」の意味も、この「目に立つ方の面」と同等です。
「表の笑い」とは、
ギャグやボケ・トークそのものを面白いと感じて笑う状態
を意味します。
つまり、なんてことないフツーの笑いということです。
「裏の笑い」とは
この「裏の笑い」には「裏」という以上、当たり前ですが「表」ではないという意味が込められています。
例えば以下のようなやりとりがあったとします。
ある日の合コンにて
先輩「おれビートたけしのモノマネできるんだよ!」
女「すごーいーやってー!」先輩「ダンカンばかやろう!」
僕「笑」
ちょっと面倒な先輩とコンパに行くとまれによくあるシチュエーションだと思います。
さてここで、
僕さんが最後に笑ったのはなぜでしょうか?
まず素直な答えは、
- 「ダンカンばかやろう」が本人そっくりだったから
というのがあるでしょう。
しかし、初対面の女性の前で自分でものまねを振ってる以上、ほぼほぼスベっていると思われるのでこの答えでは不十分です。
次に考えられるのは、
- 先輩が思いっきりスベったため、その空気感がたまらなくなり、ついつい笑ってしまった
というのもあり得ます。
以上大きく二つの笑いの理由を紹介しましたが、これがそのまま
- 「ダンカンばかやろう」が本人そっくりだったから (表の笑い)
- 先輩が思いっきりスベったため、その空気感がたまらなくなり、ついつい笑ってしまった(裏の笑い)
に対応します。
このように、ギャグやボケに対してではなく、それが行われている状況や結果などメタな視点に立って笑うことを「裏の笑い」と言います。
ちなみに僕さんが笑った理由はもう一つあり、
- すべってしまうと先輩の機嫌が悪くなり、あとで怒られるから笑った
というのもあります。
このような笑いを「愛想笑い」と言います。
笑いの「表裏」を使う
上記の通り「表の笑い」はそのものが面白いギャグやボケ・ツッコミなどで笑わせることなので、いかに用意するか・使うかは他の記事にまとめていきます。
ですのでここでは、「裏の笑い」をいかに使うかのポイントを記載します。
「裏」はツッコミで使え
「裏の笑い」を使う一番簡単な方法は、ツッコミです。
例えば、
ある日の合コンにて
先輩「おれビートたけしのモノマネできるんだよ!」
女「すごーいーやってー!」先輩「ダンカンばかやろう!」(スベる)
といった状況になった時、
僕「先輩、大事故起こすのは勘弁してください」
や
僕「これは僕の方から謝罪させて下さい」
などという形で「表」でウケなかったものを「裏」で拾ってツッコんで行くのが基本的な使い方です。
「裏の笑い」は諸刃の剣
ただ理解しておきたいのは、「裏の笑い」は非常に危険な手段であるということです。
ボケやギャグそのものではなく、ボケた人の様子やスベった後の状況などメタな視点に入ってしまうと、その後全てのボケが「裏」に入ってしまう可能性があります。
一番よくあるパターンは「すべり芸」です。
コメントやボケがすべるキャラとして確立してしまうと、それ以降どんなに面白いことをいっても「スベった!」と解釈されます。
その日1日は表の笑いが取れなくなります。
「裏の笑い」を理解していたとしても、他人のボケやギャグを
「今の正直つまんなくないっすか?」
というような「裏」に返すようなツッコミはなるべく会の序盤では使わないようにしましょう。
「裏」の「裏」を使う
実は、一度裏返ったものをもう一度戻すようなやりとりができれば、序盤で使っても問題ありません。
例えば「正直つまんなかったです」から何度かスベったのち、本当に面白いボケが生まれたタイミングで、
「さすがに今のは面白かったです」
という「裏」になったものをもう一度裏返す、つまり「表」に戻すツッコミができれば、またギャグやボケの方に注目してもらえるでしょう。
ただしこの方法は、すべる側にもツッコミ側にもかなりの腕が求められるので、非常に困難です。
まとめ
今日は「表の笑い」と「裏の笑い」について取り上げました。
ギャグやボケなど笑いの幅とともに、裏表(奥行き?)方向にもバリエーションを増やしていきましょう。